恐れず侮らず

英語の勉強を始めましょう

「貧乏暇なし」を英訳すると(その3)

以前の記事からかなり時間が空いてしまった。

過去記事

前2回は、‘A poor man has no time for leisure.’を「貧乏暇なし」と訳すのはおかしいのではないか、という考察をした。

いろいろ調べてみると、他に次のような表現が見つかった。

No rest for the wicked.

2009年の「入門ビジネス英語」で出てきた表現(11月30日)。文頭に There is が省略されている。wicked は形容詞で「悪い、不道徳な」だから、the wicked は「悪い人」。本来の意味は「(常に善が悪を倒そうとしているため)悪は休む暇がない」で、聖書からきた表現だが、実際にはかなりカジュアルに使われるとのこと。自分を悪に喩え、謙遜した(若干、自虐的な)表現になっている点は「貧乏暇なし」に共通する。

Ever busy, ever bare.

bare は「裸の、赤裸々な、わずかな、最小限の」といった意味だが、ここでは貧乏の意味。アルクさんには

  • Spend, and God will send; spare, and ever bare.(金を使えば神様がお守りくださるが、けちん坊をすれば生涯貧しい)
  • barely get by every day(日々の暮らしで精いっぱいである)

などの例がある。

文字通りの意味としては「かつてなく忙しいのに、かつてなく貧乏」ということだから、これこそがまさに「貧乏暇なし」に相当する英語ではないだろうか。
(2016/5/9 記)