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受け身ではない「be動詞+過去分詞」

[0] はじめに

「ラジオ英会話」2023年度のLesson 113と114に次のような文が登場した。

  • Are you finished with your meal, Barbara?
  • Yes, I'm done.
  • When I came back, he was gone.〔太字は引用者〕

番組内では詳しい解説はなかったが、受身ではない? とか、have動詞が使われるべきではないのか? 意味はどう違う? のように、戸惑ったり疑問を感じたりした人もいたようだ。調べてみると自分自身も、わかっていたようでわかっていなかったこともあった。ここでまとめてみる。

[1] 「be動詞+形容詞=状態」

辞書には普通、規則動詞は現在形のみ記載される。たとえばstoppedという語は載らない。不規則動詞の過去分詞は記載されるが、品詞は動詞になる.一方、finished、done、goneはそれぞれ項目として載っており、動詞の過去分詞のほか、形容詞の意味が与えられている(GENIUS, WISDOMとも確認済み)。

形容詞なのであれば話は終わりだ。上記の例文は、

  • He is kind.
  • The sky is blue.

などと同じ構造であり、現在の状態を表わしている。何も難しいことはない。

ただし、これは「一種の完了形」であるという見方もできる。その話を次に述べる。

[2] 完了形の歴史的変遷

過去分詞には「受身」の意味と「完了」の意味がある。この両者を区別するため、500~600年くらい前の英語では、他動詞の場合は

  • 「have+過去分詞」は完了
  • 「be+過去分詞」は受身

を表わす表現とされた。(脱線になるため本稿では割愛するが、他動詞の「have+過去分詞」がなぜ完了の意味を持つようになったのかを、今回調べていて初めて知った。実に興味深かった。)

自動詞の場合は受身が存在しないから、「be+過去分詞」で完了を表わしていた。

現代の英語は、自動詞も他動詞も完了は「have+過去分詞」で表わす。学校でもそう習う。ただ、「be+過去分詞」の完了形が全く使われなくなったわけではなく、表現としてそれなりに残っている……と私は理解していた。

[3] 「be+過去分詞」は完了形か?

「be+過去分詞」でも完了を表わすとすると、「have+過去分詞」とはどう違うか、微妙なニュアンスの違いとして、「have+過去分詞」は完了の意味が強く、「be+過去分詞」は結果の状態の意味が強い……と教わった記憶がある。

  • The machine has broken. (機械がたった今壊れた)
  • The machine is broken. (機械がずっと壊れている)

裏を取ろうと文法書を紐解いてみると、「英文法解説」には「be+過去分詞」の完了形は古風な英語であり、comeの特別な場合を除いては現代では使われない、be finished / be gone は慣用表現として残っている、という説明だった。「現代英文法講義」もほぼ同様、古い英語だとバッサリ。また「英文法総覧」および「基礎と研究 新英語」には、そもそも触れられていない。あわててfinished、done、goneを辞書を引くと、[1]で述べたように形容詞の意味が与えられていた(自分としては意外だった)。

ここからすると、自動詞は今でも「be+過去分詞」で完了を表わすことがある、と考えるより、一部の過去分詞は形容詞として定着した、と考える方がよいようだ。そう考えれば、「be+過去分詞」は結果の状態の意味が強いのは当然である。[1]で述べたように、そもそも形容詞は状態を表わすからである。

とはいえ、これについては明確に白黒が決められるものではなかろう、とも思う。ただ、古い英語では「be+過去分詞」が完了の意味を表わしていたことがある、というのは知っていてよい知識だと思われる。

[4] 他の人の考察

本件に関して、ひなた(@maru002525)さんがFACTBOOKからの引用として、次のことを述べていた(twitter、9月21日)。

☛単に「動き」を表す自動詞の過去分詞は「~される」ではなく「完了」を表します。
☛be動詞の後に過去分詞が使われるケースでも完了の意味合いは出てきます。

前者については、過去分詞にはそれ自体に受身と完了があるが、自動詞には受身はないから、完了の意味だけを持つことになる。つまり、正しい説明だ。

後者については、FACTBOOKの著者は「be+過去分詞」で完了を表わすことがある、というお考えかと推察される。

また、モンド(@metkiramotkira)さんは、「be gone の使い方がいまいちわからず、調べました」として、次のことを述べていた(twitter、9月22日)。

have gone = どこかに行った
be gone = もはやその場所にない・いない ➡have goneと違って「あると思っていたところにない」という驚き・失望がある

have goneとbe goneの違いについては、これまでの説明の補強になっている。ただ、驚き・失望があるというのは初耳だ。この確認は後日の課題としたい。



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