恐れず侮らず

英語の勉強を始めましょう

英語の学習は英語ですべきか

小栗左多里の漫画「ダーリンは外国人*1で、トニー・ラズロが日本の語学番組を見ていて、英語を学習しようというのに番組が主に日本語で進行していることに疑問を感じるシーンがあった。英語を習うなら、説明も含めて英語で進めるべきではないか。こういう考えの人は一定数いる。

十数年前に英会話学校へ通った時は、講師は英語のネイティブで、テキストはすべて英語、授業もすべて英語だった。講師は日本で暮らしているわけだから、日本語もできるはずだが、受付の人に聞いた話では、学校内で日本語をしゃべったら罰金らしい。とにかくひたすら英語に慣れてくださいという方針だった。恐らくたいていの英会話学校はそうだろう。

授業の始めにお互いの自己紹介があり、そこから雑談が10分ほど続く。こちらが話そうとして、適切な表現が思い浮かばなくても、知っている限りの単語や語法を駆使して、とにかく何かを話さなければならない。また、相手の喋ったことが理解できなければ、答えようがないから、何度でも訊くしかない。これをすべて英語で毎回行なうのは、確かにいい訓練だった。

一方、雑談を切り上げ、テキストの授業に移ると、すべてを英語で進めることにもどかしさを感じるようになった。幼児が相手ならいいだろうが、こちらはいい年齢の大人。既に十分な社会的な知識や日本語の能力がある。その能力を活用しないのはもったいない。日本語で説明してくれれば手っ取り早いのに、と思うことは何度もあった。

現在私は、「ラジオ英会話」と「中高生の基礎英語 in English」を聞いている。後者はオールイングリッシュ。CEFRによれば「ラジオ英会話」はB1で「中高生の基礎英語 in English」はA2となっているが、ダイアログの内容では格段の差がある(「中高生の基礎英語 in English」の方がはるかにやさしい)。双方を聞いていて思うのは、「中高生の基礎英語 in English」が役に立つ、と言える人は限られるのではないか、ということ。「ラジオ英会話」の方が対応するリスナーの幅が圧倒的に広いはず。初心者が聞いてもいい。役に立つ部分はある。日本語で進められるから。

アウトプットに関して日本語を排するのはいいことかも知れない。英語で日記をつけるようにすると、力はつくだろう。家族や友人に協力してもらい、日本語禁止の会話をしてみるのもいい。その場に上級者がいて、指導してもらえれば言うことはないが、それがなくてもおおいに意義はある。しかし、インプットに関しては、得意な母語を駆使した方が、効率的に学べるはずだ。

もっとも、現在の「ラジオ英会話」に関しては、もう少し英語の割合を増やしてもいいのでは、という気持ちもある。ダイアログの解説は番組前半で終了し、後半はダイアログから離れるが、番組の最後に、もう一度ダイアログのスキットを流してほしい。自分はストリーミングで聞いているから、聞きたければ何度でも聞き直せばいいと言われるかも知れないし、実際、何度も繰り返し聞いているのだが、ちょっと日本語の説明を詰めれば、40秒の時間は作れるのではないか。いろいろ学んだ最後にもう一度スキットを聞いて、たとえばKey Expressionで習った表現が15分前に比べ、リアルに聞こえるかどうか、確認したいと思うのだ。

ところで、「ラジオ英会話」2022年8月号で、クリス・マクベイがスペイン語を習った時のことを書いている。スペイン語の教師は英語が話せなかった。クリスはスペイン語が全くわからない。このレッスンを二年間続け、スペイン語がペラペラになったと。クリスは書く。「日本語を使わずに英語を学ぶことは……いちばん効果的で効率的な方法だ」。いったいどのように授業が行われたのか、興味のあるところだ。


英語ランキング

*1:「ダーリンの頭の中」だったかも知れない。