恐れず侮らず

英語の勉強を始めましょう

「続・基礎英語」のころ

ラジオ英会話 Advent Calendar 2022参加作品。

「基礎英語」を一年聞いて、手応えを感じ、翌年は「基礎英語」と「続・基礎英語」を聞くことにした。

当時、NHKのラジオの語学講座は、現在の豊富なラインナップを熟知する若い人には信じられないかも知れないが、「基礎英語」「続・基礎英語」「英語会話」の三種類しかなかった。「基礎英語」はほぼ中学一年生の内容をカバーする。「続・基礎英語」は中学二年生。「英語会話」は特に学校の内容とは連動していない。なぜ中学三年生相当の番組がないのかは不思議だったが、それはまだ先。

「基礎英語」は前年の復習だとはいえ、40分連続で聞くのは大変だった。この年も一日も休まなかったと言いたいところだが、実際には三回くらい聞かない日があったはず。とまれ、ほぼ毎日聞いていたのは間違いない。

講師は安田一郎先生。Wikipediaに項目がある。それによると1922年生まれだから1976年の時点では54歳。1965年から1980年まで、長きにわたって「続・基礎英語」の講師を担当された由。1992年に亡くなられている。

パートナーの方はよく覚えている。マーシャ・クラッカワーさんとジャン・マケーレブさん。英語教育界の有名人。もちろん当時はそんなことは知らない。が、率直なところ、安田先生より存在感があった。一年の講座の最終回の日、今日は最後だからすべて日本語で話しましょう、ということになったのだが、マーシャさんもジャンさんも日本語がたいへん流暢。言われなければ日本人としか思えなかった。これには驚いた(あとで知ったが、マーシャさんは母親が日本人のバイリンガルだ。だとしてもすごい。ジャンさんは22歳で来日した時は日本語が全く話せなかったそうだ)。

安田先生の講義で今でもひとつだけ覚えていることがある。それは、willとbe going toは違います、と説明されたこと。これは少し補足が必要だろう。

自分が中学生だった頃、willとbe going toは未来を表わす同じ意味であり、書き換え可能だと習った。当時の高校受験を前提とする限り、これは正しい。この書き換えは頻出問題のひとつだったから。安田先生が学校で習ったことと違うことをおっしゃるので、不思議に思ったわけ。

ちなみに、現在は中学でもwillとbe going toは意味が違うと教えているようだ。高校入試問題を見ると、その違いがしばしば問われている。*1

安田先生が、「二学期は9月1日から始まります、という時は、どちらでも使えるわけではありません、使えるのは……」とおっしゃったところまでは覚えているのだが、どちらだと説明されたのか、肝心のところを覚えていない。ダメですねえ。今の知識で答えるならwillのはずだが、当時、どういう説明がなされたのか、今ごろ気になっている。*2

高校の二年か三年の時、友人が、「マケーレブが生きた英語教えます」という本を購入。それを自分に見せ、「ジャン・マケーレブって覚えている?」と得意げに聞いてきたことがある。自分は「英会話あと一歩」という本を見せ、俺はマーシャの本を持っているよ、と自慢し返した(ただジャンの本も面白そうだったから、後日購入した)。

その後、大学受験を意識する時期になり、Z会(通信添削の増進会出版社)の基礎科の旬報にマーシャ・クラッカワーの、受験科の旬報にジャン・マケーレブのコラムが連載されていることを知った。この再会は懐かしく、また嬉しかった。背中を押してもらっている気がした。

安田先生とは一年限りのお付き合いだったが、マーシャとジャンは長い付き合いになった。ジャンはもう亡くなられている。が、今でも著書を読み返すことがある。

付記:willとbe going toの違い

1. 単純未来はwill

話者の意志で変わらないことにbe going toは使わない。

  • Tomorrow will be Sunday. (明日は日曜だ)

2. be going toは近接未来

be going toは既にその兆候が現われ始めている場合に使用する。現在と関係ない未来はwill。

  • It will rain tomorrow. (明日は雨だろう〔今は晴れだが、天気予報でそう言っていた〕)
  • It is going to rain tonight. (今夜は雨だろう〔空に雨雲が広がっている〕)

3. とっさの判断はwill

be going toは計画・予定が進行中の意味。急に決まったことはwillで表わす。

  • "I'm going to submit my expenses today. Have you finished yet?" "No, I forgot to do that. I'll submit mine today, too." (「今日は経費精算を済ませるつもり〔あらかじめ予定していたからbe going to〕。君はもう済ませたかい?」「いや、忘れていたよ。僕も今日やらなきゃ〔今思いついたからwill〕」)

3つに分類したが、要は、be going toは進行形なので、主語が意志を持って予定・計画していること、あるいは既に状況が始まっていると(話者が)判断できる時にのみ使われるということ。


英語ランキング

*1:高校入試問題を直接見て研究したわけではない。三年前、中学英語からやり直そうと、中学生向けの受験問題集を二冊ほど買ってきて、取り組んだことがある。どちらの本にもwillとbe going toの違いを問う問題が載っていたため、最近は高校入試でこうしたことが問われるのかと認識を改めた次第。関正生先生によれば、大学入試でも出題されることがあるとか。

*2:当時のテキストがここにあれば、どれだけ役立つだろうと思わなくもないが、テキストは一冊は薄くても一年分となると大いに場所を取る。ラジオ講座は毎年聞く。終わった講座のテキストをいつまでも取っておくことは許されないのだ。