名著への招待 第19回(10月号)
内容とは別に、気になる言葉遣いがあった。
著者によれば、ディストピアとは「少数のトップ層が支配する管理監視社会のこと」で、最近では「文明崩壊後の荒廃世界」のことも指す、という。
私はもともとディストピアというのは荒廃世界のことだと思っていたから、異様に感じた。しかし、デジタル大辞泉の「ディストピア」の項には「反理想郷。暗黒世界。また、そのような世界を描いた作品」とあり、英辞郎の「dystopia」には「暗黒郷」とあるのみ。Wikipediaでは、ディストピアの典型例として「反自由的な社会であり、隠れた独裁や横暴な官僚システム、性愛制御などが描かれる」とある。こちらが自分の感覚に近い。