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自動車やコンピュータこそ/英語長文問題精講

第九章 長文読解総合問題〔2〕「宣伝が暮らしに影響する」

5問中3問正解。

inventionの意味がわからず、文意を誤解した。そのため2問を失ってしまった。inventionがわからなかったのも情けないし、それだけで文意を誤解してしまうのも、そもそも正確に読めていないため。とはいえ、文章の中身にも文句をつけたくなる。

広告には、シンプルに事実だけを述べたものがある。たとえばパソコンが発明された時、人々はその利点(なぜパソコンを買うべきか)を説明される必要があった。また、ロールスロイスの自動車のように、ある製品が他社製品より明らかに優れている場合もそのような広告が見られる、と著者はいう。本論は、それ以外のほとんどの場合はイメージ広告だと述べるところにあるのだが、ちょっと待て。

パソコンが発明された当時のこと(Altair8800やAppleIIIBM PCの時代)はよく知らないが、その後革新的な製品はいくつか登場している。それは確かに、その利点が説明されるべきだっただろうが、寡聞にして、そうした広告を見たことがない。すべての広告を把握しているわけではないから、知らないだけかも知れないが……

Macintoshが登場した時の広告は、例の "1984 won't be 1984." である。Macintoshがあれば自由になれる、権力者からの圧政に抵抗する唯一の手段がMacintoshであると吹き込んだのだ。以来、一貫してコンピュータの広告はイメージ広告一辺倒だと僕は思っている。

なぜかといえば、企業ではともかく、個人の家庭では、パソコンなんてなくたって本当はたいして困りはしないからだ。もちろん、あればあったで便利ではある。しかし、どういう点が便利なの? それは価格に見合うものなの? と真面目に悩む人が参考になるような広告はないのではない。あるのは、パソコンこそが知的で文化的な生活の証ですといわんばかりのイメージ広告ばかり。

自動車などはイメージ戦略製品のまさに最たるものだと思う。ロールスロイスが他社製品より圧倒的に優れている、という点にも疑問はあるが、そもそもロールスは馬力だとか最高速だとかのスペックを公表していないはず。徳大寺有恒氏によれば、そんなことが気になる人はロールスを選んではいけない、ロールスは、世の中に自動車といえばロールスしか知らない人のための自動車だ、ということらしい。要するにイギリス貴族社会の象徴なのだ。

日本で初めてロールスロイスを買った加藤和彦の思惑はどうだったかわからないが、多くの芸能人や作家などが競うようにシルバーシャドウだなんだと買い求めているのは、ステータス・シンボルとしてだろう。

比較的に正直に機能を紹介している広告といえば(少なくとも日本においては)、白物家電が該当するのではないか。今年の夏前には、ロンドンオリンピックを大型画面でと宣伝して液晶テレビを売った。不在の時でもこんなに簡単に録画がと宣伝してHDレコーダーを売った。ハイブリッド霧ヶ峰を買うと結婚できるとか、女房の浮気に気が付くとかいうのはギャグとして、省電力効果があるというのは今の日本ではいいアピールポイントである。

話を戻すと、著者は広告について述べてはいるけれど、広告について綿密な調査をしたとはとても思えない。思いつきを吹聴しているだけで、新聞の投書欄かはてな匿名ダイアリのレベルである。そういう文章を入試に採用するのはいかがなものか。――以上、文意を取り違えた八つ当たり(と負け惜しみ)。英文を読んだ段階で「このたとえはおかしい」と気づいていれば批判にも正当性が出てくるが。

  • invent = 〜を発明する、考案する、創作する
  • invention = 発明(品)